保護者向けコラム|そろばん
さくらんぼ計算とは?
教え方と無料プリント
「さくらんぼ計算がよくわからない」「宿題を見てあげたいけれど、どう教えればいいの?」。小学1年生のくり上がりのたし算で、よく聞く声です。さくらんぼ計算のしくみ、ひき算のやり方、わかりにくいと言われる理由、おうちでの教え方、そしてそろばんでの考え方を、そろばん教室の経験からまとめました。練習できる無料プリント(答えつき)もあります。

無料プリント(答えつき)
この記事のやり方(たし算は うしろの数を分ける・ひき算は 10からひいて たす)で練習できるプリントです。A4で印刷して使えます。登録はいりません。



ご家庭や学校での学習用に、自由に印刷してお使いください。プリントの販売や、ほかのサイトへの掲載はご遠慮ください。そろばんの練習問題はそろばん練習問題プリントにもあります。
さくらんぼ計算とは
さくらんぼ計算は、くり上がりのあるたし算を、「10のまとまり」をつくって計算する方法です。数を2つに分けて書いた形が、枝についたさくらんぼに見えることから、こう呼ばれています。
8+5で見てみましょう。
- 8は、あと2で10になる。
- だから、5を「2」と「3」に分ける(ここが、さくらんぼ)。
- 8と2で10。
- 10と3で13。
どうして、わざわざ10をつくるのでしょう。それは、10のまとまりができれば、あとは数えなくても答えがわかるからです。13は「10と3」、15は「10と5」。わたしたちが使う数は、10のまとまりでできています。さくらんぼ計算は、この数のしくみを、目に見える形にした方法です。
前の数を分ける方法もある
うしろの数を分けるだけでなく、前の数を分けて10をつくる方法もあります。算数の言葉では、うしろの数を分けるのを「加数分解」、前の数を分けるのを「被加数分解」といいます。
| 分け方 | 例 |
|---|---|
| うしろの数を分ける(加数分解) | 8+5:5を2と3に分ける → 8+2=10、10+3=13 |
| 前の数を分ける(被加数分解) | 7+8:7を5と2に分ける → 2+8=10、10+5=15 |
3+9のように前の数が小さいときは、3を2と1に分けて、1と9で10、10と2で12とするほうが楽です。どちらの分け方も正しい計算です。学校で習っている分け方があれば、おうちでもそれに合わせると、子どもが迷いません。
ひき算のさくらんぼ計算
くり下がりのあるひき算にも、さくらんぼ計算を使います。13-8で見てみましょう。
- 3から8は、ひけない。
- だから、13を「10」と「3」に分ける。
- 10から8をひいて、2。
- 2と3で5。
このように、10からひいて、のこりをたす方法を「減加法(げんかほう)」といいます。もうひとつ、ひく数を分けて2回ひく「減減法(げんげんほう)」もあります。
| 方法 | 13-8 の場合 |
|---|---|
| 減加法(10からひいて、たす) | 13を10と3に分ける → 10-8=2、2+3=5 |
| 減減法(2回ひく) | 8を3と5に分ける → 13-3=10、10-5=5 |
減加法では、「10-8=2」のように10からひく計算がすぐにできることが大切です。これは「8と2で10」の裏がえし。たし算と同じく、「10はいくつといくつ」が土台になります。12-3のように、ひく数が小さいときは、減減法(3を2と1に分けて、12-2=10、10-1=9)のほうが楽なこともあります。
何年生で習う?
くり上がりのあるたし算と、くり下がりのあるひき算は、多くの場合小学1年生の後半ごろに習います。その前に、1年生の前半で「5はいくつといくつ」「10はいくつといくつ」を学ぶのが、よくある流れです。時期や順番、さくらんぼの書き方は、学校や先生によって少しずつちがいます。
年長さんのうちに、さくらんぼ計算そのものを先取りする必要はありません。それより、「10はいくつといくつ」を遊びの中でたくさん経験しておくほうが、1年生になってから、ずっと役に立ちます。
「わかりにくい」と言われる理由
「さくらんぼ計算はわかりにくい」という声は、子どもからも、おうちの人からもよく聞きます。理由は、だいたい次の4つです。
- 書くことが多い:1問ごとに小さな数を2つ書いて、途中の10も考えます。数字を書くのに時間がかかる子には、それだけで大変です。
- 頭の中でできる子には、遠回りに感じる:8+5=13がもう頭に入っている子には、「わかっていることを、わざわざ書く」作業に思えます。
- 「10はいくつといくつ」が、まだすぐに出てこない:8を見て「あと2」がすぐに出ないと、何をいくつに分ければいいのかがわかりません。いちばん多い原因です。
- おうちの人が、この形で習った記憶がない:子どもの説明と、おうちの人の説明がずれると、子どもが混乱することがあります。
どう向き合えばいい?
さくらんぼは、「10のまとまりをつくる」という考え方を、目に見える形にするための道具です。考え方が身につけば、さくらんぼを書かなくても、頭の中で同じことができるようになります。
- 学校のやり方を否定しない:「そんなの書かなくていいよ」と言うと、子どもは学校とおうちの間で迷ってしまいます。宿題やテストで書くように言われているときは、先生のやり方に合わせましょう。
- おうちの練習では、書かせすぎない:頭の中で正しく計算できている子に、毎回さくらんぼを書かせる必要はありません。ときどき「どうやって考えたの?」と聞いて、言葉で説明できれば十分です。
- つまずいていたら、ひとつ前にもどる:分け方で止まっているなら、「10はいくつといくつ」にもどって練習します。
計算そのものに時間がかかる、ミスが多いという場合は、計算が遅い・ケアレスミスが多い子にもあわせてご覧ください。
土台は「10はいくつといくつ」
さくらんぼ計算でいちばん大事なのは、分ける前の「あと、いくつで10?」です。9なら1、8なら2、7なら3、6なら4、5なら5。この組み合わせ(10の合成・分解)が考えなくても出てくるようになると、さくらんぼ計算はぐっと楽になります。おうちでは、こんな遊びで練習できます。
- 指で10:両手を開くと10。指を7本立てたら、折れている指は何本? 指は、いつでも使える「10のまとまり」です。
- おはじきを両手に:おはじき10こを両手に分けてにぎり、片方の手だけ開きます。「こっちは6こ。もう片方は?」
- 卵パックで10のわく:10こ入りの卵パックに、おはじきやボタンを入れます。「7こ入っているね。空いているのは?」。10のまとまりが、ひと目で見えます。
- あわせて10のカードあそび:1〜9の数字カードを2組つくり(手書きで大丈夫)、裏返して並べます。めくった2枚があわせて10なら、もらえます。
- 「あわせて10」言いっこ:おうちの人が「7」と言ったら、子どもが「3」。車の中やおふろでもできます。慣れたら、子どもが出題する番です。
1回5分くらいで十分です。まずは正しく。速さは、あとからついてきます。
おうちでの教え方 5つのステップ
- 「10はいくつといくつ」を、すぐに言えるように
上の遊びで、10の組み合わせを体に入れます。ここが、すべての土台です。
- ものを動かして、10をつくる
8+5なら、おはじきを8こと5こ置きます。5このほうから2こ動かして、8こを10こにします。「10こと3こ。だから13」。卵パックを2つ並べると、10のまとまりがもっとわかりやすくなります。
- 動かしたとおりに、さくらんぼを書く
「さっき、5を2と3に分けたね」と言いながら、さくらんぼを書きます。ものの動きと図がつながると、書く意味がわかります。
- 声に出して言ってみる
「8はあと2で10。5を2と3に分けて、10と3で13」。声に出すと、頭の中で考える練習になります。
- 9+□から順に、少しずつ
9のたし算は「あと1で10」なので、いちばんやさしい。9+4、9+7のような問題から始めて、8+□、7+□と、前の数を少しずつ小さくしていきます。まちがえたら、ひとつ前のステップにもどれば大丈夫です。
ひき算も、同じ順で進めます。13-8なら、おはじき13こを「10こ」と「3こ」に分けて置き、10このほうから8ことります。のこった2こと3こで、5こです。
そろばんでは、どう考える?
そろばんにも、くり上がりのたし算があります。そろばんでは、あわせて10になる組み合わせを「10のなかま」と呼んで使います(「10のおともだち」と呼ぶこともあります)。
10のなかま:9と1・8と2・7と3・6と4・5と5
8+5を、そろばんでやってみましょう。一の位に8を置きます(上の珠1つと、下の珠3つ)。ここに5をたしたいのですが、上の珠はもう使っていて、5をそのままたせません。そこで、「たせない5は 5とって10をたす」と唱えます。
- 一の位から5(上の珠)をとる。一の位は3になる。
- 十の位に1(=10)を入れる。
- 十の位が1、一の位が3で、13。
さくらんぼ計算では、8の「あと2で10」を使いました。そろばんでは、たす数5の「10のなかま」である5を使います。使う組み合わせはちがいますが、どちらも「あわせて10」がすぐに出てくることが土台です。7+8なら「たせない8は 2とって10をたす」。一の位の7から2をとって5、十の位に1を入れて15です。
ひき算も同じです。たとえば12-9なら、一の位の2から9はひけないので、「ひけない9は 10とって1をたす」。十の位から1(=10)をとって、一の位に1をたすと3になります。これは、さくらんぼ計算の減加法(10-9=1、1と2で3)と同じ考え方です。そろばんはけたごとに珠が分かれているので、「10のまとまり」が十の位の珠1つになるのが、目で見てわかります。
さわってみよう:下のそろばんは、珠をタップすると動きます。8を置いてから、「5とって10をたす」で8+5をやってみてください。十の位が1、一の位が3になれば13です。
珠をタップすると動きます。上の珠は5、下の珠は1。
この数を、そろばんに置いてみよう–

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算数のつまずきとそろばんの関係は算数が苦手な子に、そろばんが効く理由、始める時期はそろばんは何歳から?でくわしくお話ししています。
よくある質問
さくらんぼ計算は、年長さんのうちに練習したほうがいいですか?
先取りしなくて大丈夫です。学校で習うのは、多くの場合、小学1年生の後半ごろです。年長さんのうちは「10はいくつといくつ」を遊びの中でたくさん経験しておくと、1年生になってから、さくらんぼの意味がすっとわかります。
さくらんぼを書かずに、頭の中で計算するのはだめですか?
頭の中で正しく計算できているなら、考え方は身についています。ただ、学校で書くように言われているときは、先生のやり方に合わせましょう。どこまで書けばよいか迷ったら、担任の先生に聞いてみると安心です。
指を使って計算するのは、やめさせたほうがいいですか?
習いはじめは、指を使うのは自然なことです。無理にやめさせると、かえって自信をなくすことがあります。「10はいくつといくつ」がすぐに出てくるようになると、指を使う回数は自然に減っていきます。
そろばんを習うと、学校のさくらんぼ計算とまざりませんか?
珠の動かし方と、さくらんぼの書き方はちがうので、最初はとまどう子もいます。でも、どちらも「あわせて10」を使う計算です。おうちでも「どっちも正しいね」と声をかけてあげてください。慣れると、場面に合わせて使い分けられるようになります。

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