保護者向けコラム|かきかた書道
左利きの子の鉛筆の持ち方、
紙の置き方と書きやすくする工夫
「左手の持ち方が、なんだかおかしい」「手の横が真っ黒になる」「右手に直したほうがいいの?」。左利きの子の鉛筆は、左手のままで大丈夫です。ただ、横の線は左から右へ書くので、右手の子より少しだけ工夫が要ります。正しい持ち方、紙の置き方、手が汚れるときの対策、書きにくい線まで、かきかた書道の教室の経験からお話しします。

左利きの子の鉛筆の持ち方は、右利きの大人から見ると「なんだか変」に見えることがあります。でも、よく見ると持ち方そのものは正しく、紙の置き方や手の位置が合っていないだけ、ということがよくあります。横書きの字は左から右へ進み、字の中の横の線も左から右へ書くので、左手で書く子は、右手の子より少しだけ工夫が要るのです。持ち方の基本は鉛筆の正しい持ち方と、おうちでできる直し方にまとめています。
右手に直したほうがいい?
鉛筆は、左手のままで大丈夫です。左手でも、正しい持ち方と紙の置き方ができれば、きれいな字は書けます。昔は右手に直すように言われることもありましたが、今は無理に直さないことが多くなっています。
無理に直そうとすると、書くたびに注意されることになり、書くこと自体がいやになってしまうことがあります。大切なのは、どちらの手で書くかより、本人が楽に、ていねいに書けることです。
「鉛筆だけ右手」の子:お箸やボールは左手なのに、鉛筆だけは右手で書く子もいます。小さいころに右手で教わった、まわりのまねをした、など理由はいろいろです。右手で楽に書けているなら、そのままで大丈夫です。反対に、右手だと書きにくそうで、本人が「左で書きたい」と言うなら、左手にもどしてもかまいません。どちらの手で書くかは、本人の気持ちで決めることです。
左手の正しい持ち方
左手の持ち方も、右手と同じ「3本の指」です。形は、右手の持ち方を左右反対にしたものになります。
- 3本の指で、軽くつまむ
親指と人差し指で鉛筆をつまみ、中指で下から支えます。薬指と小指は軽く曲げて、紙の上にそっと置きます。ここは右手の子と同じです。
- 右手の子より、少し上を持つ
先から3cmくらいが目安です。少し上を持つと、手で字が隠れにくく、ペン先がよく見えます。書いた字に手がふれにくくなるので、こすれも減ります。
- 鉛筆のおしりは、左の肩の方へ
右手の子は、鉛筆のおしりが右の肩の方を向くのが目安です。左手の子は、左の肩の方を向くのがよい形です。おしりが自分と反対の方(紙の上の方)を向いているときは、手首が曲がっているかもしれません(下の「かぎ手」へ)。
- 手は、書いている行の下に
手首はまっすぐにして、手は書いている行より下に置きます。手が行の上にのると、書いた字が隠れて、こすれてしまいます。
ここで気をつけたいのは、持つ形は右手の反対でも、字は鏡うつしにはならないことです。横の線は、左手で書いても左から右へ引きます。右手では手の方へ「引いて」書く横の線が、左手では手から離れる方へ「押して」書く線になります。左利きの子が「書きにくい」と感じるいちばんの理由は、ここにあります。だからこそ、持ち方に加えて、紙の置き方と手の位置が大切になります。
紙の置き方:少し左に置いて、右にかたむける
左利きの子の書きやすさは、紙の置き方で大きく変わります。よく言われるのは、次の3つです。
- 紙は、体のまん中より少し左に:左うでを自然に前へのばした先に、紙がくるようにします。紙が右にありすぎると、左うでを体の前で横にのばすことになり、動かしにくくなります。
- 紙を右に(時計回りに)少しかたむける:紙の上の方を右へ回して、紙の右側が少し下がるように置きます。こうすると、左手が書いている行の下に来やすくなり、書いた字がよく見えます。かたむける角度は、本人が書きやすく、手首が楽なところで大丈夫です。
- 右手で紙をおさえる:書かない方の右手で、紙が動かないように軽くおさえます。
左利きの子の書き方には、いくつかの考え方があります。ここで紹介しているのは、よく言われている方法です。紙の位置や角度は、本人が書きやすく、手首が楽なところを探す目安にしてください。
手首を曲げる「かぎ手」になっていたら
左利きの子によく見られるのが、手首を内側に大きく曲げて、手を書いている行の上に回りこませ、上から鉛筆を下に向けて書く形です。手の形がかぎのように見えるので、「かぎ手」(フック)と呼ばれます。
かぎ手になるのは、書いた字を見たい、手が字にのらないようにしたい、という気持ちから、自然にこの形になることが多いようです。紙の置き方が合っていないと、なりやすいとも言われます。かぎ手のままだと、手首や肩に力が入って疲れやすく、書くのがゆっくりになりがちです。
直したいときは、次の順番で試してみてください。
- 紙を少し左に置いて、右にかたむける:上の図の置き方です。これだけで、手が自然に行の下へ来る子もいます。
- 鉛筆を少し上で持つ:ペン先が見えやすくなると、手を上に回りこませなくても、書いた字が見えます。
- 鉛筆のおしりを、左の肩の方へ:持つ前に「おしりは肩の方」と確かめる合図にします。
- 線や丸のなぞり書きから:いきなり字を書くより、直線やぐるぐるをなぞって、新しい手の形に慣れます。最初は数分で十分です。
小さいうちほど、紙の置き方を変えるだけで自然に直ることがあります。一方で、長くかぎ手で書いてきて、手首が痛くならず、字もきれいに書けているなら、無理に変えなくても大丈夫です。直すかどうかは、本人が書きにくさを感じているかどうかで考えます。
手が汚れる・字がこすれるときは
左利きの子の「あるある」が、手の小指側(手の横)が、鉛筆で真っ黒になることです。横書きは左から右へ書くので、書いたばかりの字の上を手が通ります。悪いことではありませんが、ノートが汚れたり、字が読みにくくなったりするので、次の工夫を試してみてください。
| 工夫 | ポイント |
|---|---|
| 手を行の下に置く | 紙を右にかたむけると、手が書いている行の下に来やすくなる。いちばん効く工夫 |
| 鉛筆の濃さを見直す | 2Bなどのやわらかい鉛筆は、力を入れなくても書けて書きやすい反面、こすれやすい面も。学校の指定があればそれに合わせ、なければBやHBも試して、こすれにくい方を選ぶ |
| 下じきを使う | 書く面がかたく平らになり、強く押さなくても線が引ける。力が入りすぎなければ、こすれも少なくなる |
| 手の下に紙を1枚 | 手がのる所に、いらない紙を1枚しくと、ノートも手も汚れにくい |
ちなみに、国語の縦書きのノートは、上から下へ、右の行から左の行へと書くので、左手が書いた字の上にのりにくく、こすれにくいです。算数などの横書きのノートは、左から右へ書くので、手が字の上にのりやすくなります。横書きのときほど、紙の置き方が大切です。
左利きの子が書きにくい線と、筆順
日本の字の線は、左から右、上から下へ書くものが多くあります。左手で書くと、とくに次の線で「書きにくい」と感じやすいようです。
- 横画(よこの線):左から右へ「押して」書くので、紙に引っかかったり、線がふるえたりしやすい線です。力を入れすぎず、ゆっくり書きます。
- 右はらい:「人」「大」「入」などの、右下へのはらいです。手から離れる方へ、力をぬきながらのばすので、とちゅうで止まったり、短くなったりしやすい線です。
こうした線も、筆順と線の向きは右手の子と同じです。書きやすいからといって、横の線を右から左へ書いたり、自分だけの順番で書いたりすると、字の形が整いにくくなり、「とめ・はね・はらい」もうまくいきません。学校で習う筆順のまま、押して書く線だけはゆっくり書く。これがいちばんの近道です。最初はゆっくりでも、正しい向きで書きなれると、だんだん速く書けるようになります。
ノートの字全体が気になるときは、小学生の字が汚いときの直し方もご覧ください。
すわる位置と、あると便利な道具
すわる位置:右利きの人のとなりで書くときは、左利きの子が左側にすわると、ひじがぶつかりません。食卓で宿題をするときも、左はしの席がおすすめです。学校の席のことで気になるときは、担任の先生に相談してみてください。
明かり:電気スタンドは、右側に置くと、左手の影が手元にかかりにくくなります。
| 道具 | 左利きの子のポイント |
|---|---|
| 鉛筆削り | 手で回すタイプは、左手だと回しにくいことがある。電動のものや、左手用もある |
| 定規 | 左手で線を引くと、目もりが手で隠れやすい。目もりの向きが反対になった、左利き用もある |
| はさみ | 右手用を左手で使うと、切る線が見えにくく、うまく切れないことがある。左手用だと切りやすい |
| ノート | リングのついたノートは、リングに手が当たって書きにくいことがある |
| 持ち方の補助具 | 左右で形がちがうものもあるので、左手で使えるか確かめて選ぶ。くわしくは鉛筆の持ち方の矯正グッズへ |
左利き用の道具は、全部そろえなくても大丈夫です。本人が「使いにくい」と言ったものから、見直してみてください。
習字(毛筆)は、どちらの手で書く?
鉛筆の字(硬筆)は左手のままで書けますが、筆で書く毛筆は、少し事情がちがいます。毛筆の字の形や筆の運びは、右手で書くことを前提に教えられることが多いので、筆だけは右手で練習する子もいます。
とはいえ、決まりがあるわけではなく、左手で筆を持つ子もいます。教室では、毛筆は、本人と相談しながら右手で練習することもあります。無理に直すことはしません。どちらの手にするかは、本人の気持ちを大切に、保護者の方とも相談して決めます。学校の書写の毛筆は、小学3年生から始まります。それまでに、本人の気持ちを聞いておくと安心です。冬休みの書き初めのコツは冬休みの書き初め、上手に書くコツにまとめています。
左利きの子の持ち方は、まわりに左利きの大人がいないと、お手本が見つけにくいものです。迷ったときは、かきかた書道の教室で、一度見てもらうのも方法の一つです。こどもスクールのかきかた書道は、豊橋・豊川・岡崎・安城・浜松の公民館などで開いています(教室一覧)。無料体験は約20分で、持ち物は筆記用具だけです。
よくある質問
左手の持ち方が「おかしい」と言われました。直したほうがいいですか?
まず、3つを確かめてみてください。3本の指で軽くつまんでいるか。鉛筆のおしりが左の肩の方を向いているか。手が書いている行の下にあるか。この3つができていれば、右手の子と見た目がちがっても、正しい持ち方です。できていないところがあれば、1つずつ直していきます。
まだ右手も左手も使います。どちらで書かせればいいですか?
小さいうちは、日によって使う手が変わる子もいます。親が決めてしまわず、自分から鉛筆を持つ手や、楽に書けている手を見守ってください。本人が書きやすい方の手で、正しい持ち方を身につけることが大切です。
学校の先生に伝えたほうがいいですか?
伝えておくと安心です。席の位置(右利きの子とひじがぶつからないように)や、書写の授業、はさみなどの道具のことで、配慮してもらえることがあります。
習字を習うとき、左利きでも大丈夫ですか?
大丈夫です。鉛筆の字(硬筆)は、左手のままで学べます。毛筆をどちらの手で書くかは、教室の先生と本人・保護者の方で相談して決めます。何歳から始めるかは習字(かきかた書道)は何歳から?をご覧ください。字がきれいになる流れは字がきれいになる習い事へ。

紙を少し右にかたむけて、左手は行の下に。左手でも、すらすら書けるよ!
まずは、無料体験へ
そろばん・かきかた書道は体験無料(約20分・持ち物は筆記用具だけ)。アートの体験は40分・1,000円(手ぶらでOK)。教室の雰囲気や先生との相性を、お子さまと一緒に確かめてください。

