保護者向けコラム|かきかた書道
硬筆とは?
鉛筆の字をととのえる
練習と、上達のコツ
「硬筆ってなに?」「学校の書写で硬筆があると聞いたけれど、何をするの?」。硬筆は、鉛筆やペンで字を書くこと。ノートやテスト、名前など、こどもが毎日書く字のほとんどが硬筆です。硬筆で何を練習するのか、毛筆との関係、小学校での学び方、何歳から始めるか、お手本の見方と上達のコツを、かきかた書道の教室からお伝えします。

「硬筆」ということばは、学校の書写のプリントや、書き初めのお知らせで初めて見る方も多いと思います。むずかしそうに聞こえますが、中身はとても身近です。鉛筆で、正しく、ととのった、読みやすい字を書くこと。それが硬筆の練習です。
硬筆とは?(鉛筆やペンで書くこと)
硬筆は「かたい筆」と書きます。鉛筆、ボールペン、ペンなど、先がかたい筆記具のことで、それを使って字を書くことも「硬筆」と呼びます。反対に、やわらかい毛の筆と墨で書くのが「毛筆(もうひつ)」です。
こどもの習い事では、「かきかた」「書き方」と呼ばれることもあります。大人の方がボールペンで習う「ペン字」「ペン習字」も、硬筆のひとつです。こどもの場合は、まず鉛筆から始めます。
硬筆の目的は、作品をつくることより、毎日の字を、正しく、ととのえて、読みやすく書けるようになることです。ノート、テスト、連絡帳、名前。学校で書く字のほとんどが硬筆なので、身につけたことが、そのまま毎日に役立ちます。
「習字」「書道」「書写」「毛筆」など、似たことばとのちがいは、「習字」「書道」「かきかた(硬筆)」のちがいで整理しています。
硬筆で練習する5つのこと
硬筆の教室や学校の書写で、こどもが練習するのは、おもに次の5つです。
- 正しい姿勢と、鉛筆の持ち方
すべての土台です。背すじをのばし、鉛筆は3本の指で軽くつまみます。持ち方がくずれていると、どんなにお手本を見ても、思った線が引けません。くわしくは鉛筆の正しい持ち方と、おうちでできる直し方へ。
- 筆順(書き順)
正しい筆順で書くと、線のつながりが自然になり、字の形が整います。速く書いても、くずれにくくなります。「右」と「左」のように、形は似ていても書き始めがちがう字もあります。
- 字の形(字形)
線の長さ、向き、字の中のすき間。たとえば「土」と「士」は、横線の長さがちがうだけで別の字になります。お手本と自分の字をくらべて、ちがいを見つける力も育ちます。
- マスの中の位置と大きさ
マスの真ん中に、同じくらいの大きさで書きます。ひらがなは漢字より少し小さめにすると、全体が整って見えます。たて書きでは、字の中心を1本の線にそろえる意識も大切です。
- とめ・はね・はらい
線の終わりの書き方です。鉛筆でも、止めるところはしっかり止め、はねるところは一度止めてからはね、はらうところは力をぬきながら書きます。ここがていねいになると、字がぐっと引きしまります。
硬筆と毛筆の関係
硬筆と毛筆は、別々のものではありません。おたがいに支え合っています。
- 毛筆から硬筆へ:筆はやわらかいので、力の入れ方や手の動きが、線にそのまま出ます。「とめ」「はね」「はらい」がどんな動きでできるのかを筆で体ごと覚えると、鉛筆の線も変わってきます。
- 硬筆から毛筆へ:正しい姿勢、筆順、字の形は、筆で書くときもそのまま土台になります。鉛筆の字がくずれていると、毛筆もうまくいきません。
学校の書写で毛筆を学ぶのも、筆を通して、ふだんの字(硬筆)の力を育てるためでもあります。「ノートの字をきれいにしたい」なら、硬筆が直接の近道です。そこに毛筆が加わると、線の質が上がっていきます。筆で学ぶことの良さは、かきかた書道の効果でもお話ししています。
小学校の「書写」と硬筆
小学校の国語には「書写」の時間があり、硬筆(鉛筆)は1年生から、毛筆は3年生から学びます。3年生で毛筆が始まってからも、硬筆の学習はずっと続きます。学年が上がるにつれて、練習の中心は次のように変わっていきます。
| 学年の目安 | 硬筆でおもに練習すること |
|---|---|
| 1・2年生 | 正しい姿勢と持ち方。ひらがな・カタカナ・漢字を、筆順にそってていねいに。点や線の書き方、線の長さや向き |
| 3・4年生 | 毛筆も始まる。漢字の組み立て(へんとつくりなど)、漢字とかなの大きさ、行の中での並び方 |
| 5・6年生 | 紙全体を見て、字の大きさや並び方を決める。速く書いても読みやすい字 |
学校や教科書によって、進め方は少しずつちがいます。だいたいの流れとしてご覧ください。
学校によっては、夏休みの宿題や校内の作品展で、硬筆の作品を書くこともあります。冬休みの書き初めも、1・2年生は鉛筆などで書く「硬筆の書き初め」のことが多いです。用紙や鉛筆の濃さは学校から指定があることが多いので、プリントで確かめましょう。上手に書くコツは、冬休みの書き初め、上手に書くコツにまとめています。
硬筆は何歳から?
目安は、ひらがなを書き始める年長さんごろです。この時期にいちばん大切なのは、たくさん書くことより、正しい持ち方と姿勢を身につけることです。持ち方のくせは、書く量が増えるほど直しにくくなります。小学校に入ると毎日書く量が一気に増えるので、その前に「型」ができていると、あとがとても楽です。
年少・年中さんのうちは、字の練習を急がなくて大丈夫です。ぬり絵、迷路、ぐるぐるや線のなぞり書き、洗濯ばさみやシールなど指先を使う遊びで、鉛筆に慣れておきましょう。
小学生から始めても、遅くはありません。高学年や中学生は、理解が早いぶん、本人が「直したい」と思えば変わるのも早いです。ノートやテストの字を、速く、読みやすく書けるようになることを目標にします。年齢ごとの始め方は、習字(かきかた書道)は何歳から?もご覧ください。
お手本は何を使う?見るポイント
おうちで練習するとき、いちばん身近なお手本は、学校の教科書の字です。教科書には「教科書体」という、手で書く形に近い字体が使われていて、学校で習う筆順や字の形と合っています。
反対に、本やパソコンでよく見る印刷の字(明朝体やゴシック体など)は、手で書く形とちがうところがあります。たとえば「き」や「さ」は、下の部分がつながって見える字体もあります。手書きのお手本には向かないので、教科書や、学校で配られるお手本、書き方の練習帳を使いましょう。
お手本は、ただ写すのではなく、よく見てから書くのがコツです。見るところは、次のとおりです。
| 見るところ | たとえば |
|---|---|
| 書き始めの位置 | マスのどのあたりから、1画目を書き始めているか |
| 線の長さ | 「未」と「末」のように、横線の長さで別の字になる |
| 線の向き | 横線は、少しだけ右上がりになっていることが多い |
| すき間 | 「目」や「日」の中のすき間が、同じくらいの広さになっている |
| 線の終わり | とめ・はね・はらいの、どれになっているか |
| マスの中の大きさ | ひらがなは、漢字より少し小さめ |
見るポイントは、一度にひとつで十分です。「今日は、すき間を同じにしてみよう」というように1つずつ意識すると、少しずつ形が整っていきます。
上達のコツ(おうちでできること)
- 書く前に、持ち方と姿勢をひと確認:おなかと机の間にこぶし1つ、足の裏を床に、背中をのばす。小学校でよく聞く「グー・ペタ・ピン」です。持ち方のくせが強いときは、補助具を使うのもひとつの方法です(鉛筆の持ち方の矯正グッズ)。
- 少しを、ていねいに:何ページも書くより、1日に数文字を、お手本とくらべながらていねいに書くほうが上達します。つかれて字がくずれてきたら、その日はおしまいにします。
- なぞる、写す、見ないで書く:はじめはお手本をなぞって手の動きを覚え、次にとなりに写し、最後は見ないで書いてみます。この順番で、形が手に残ります。
- マスのあるノートを使う:十字の点線が入ったマスだと、字の真ん中やバランスがつかみやすくなります。
- 鉛筆は、やわらかめを:低学年はBや2Bなど、やわらかい鉛筆がおすすめです。力を入れなくても濃く書けるので、手がつかれにくく、線も安定します。
- 直すのは1か所、ほめるのは先に:全部を直そうとすると、書くことがいやになってしまいます。良いところを先に見つけて、「次はここだけ」と1か所にしぼります。
ノートの字が読みにくい、急いで書くとくずれる、というお悩みは、小学生の字が汚いときの直し方でくわしくお話ししています。
習い事としての硬筆
硬筆は、「かきかた教室」「書き方教室」「ペン習字」などの名前の教室で習えるほか、習字・書道の教室で、毛筆といっしょに習えるところもあります。
教室では、お手本を見て書き、先生に見てもらい、直したところを意識してもう一度書く、というくり返しが中心です。おうちの練習との大きなちがいは、一人ひとりのくせを、先生が見つけてくれることです。持ち方のくせや、本人が気づいていない筆順のまちがいも、親から言われるより、先生から言われるほうが素直に聞ける子が多いです。
教室を選ぶときは、次のようなところを確かめると安心です。
- 鉛筆の持ち方や姿勢から、ていねいに見てもらえるか
- 学校で習う字(学年の漢字など)に合わせて練習できるか
- 毛筆もいっしょに習えるか(とめ・はね・はらいが身につきやすい)
- 通いやすい場所と時間か(続けることが、いちばんの近道です)
硬筆には、「硬筆書写技能検定」のような検定もあり、目標のひとつにする方もいます。ただ、こどもの時期にまず大切なのは、毎日のノートやテストの字が、読みやすく変わっていくことです。
よくある質問
硬筆の練習は、シャープペンシルでもいいですか?
小学生のうちは、鉛筆がおすすめです。シャープペンシルは芯が細くて折れやすく、力の加減がむずかしいので、字の練習には向きません。小学校では鉛筆を使うことが多いので、学校の指定に合わせましょう。
硬筆だけ習えば、毛筆はいりませんか?
ノートの字をきれいにするには、硬筆が直接の近道です。ただ、筆で とめ・はね・はらい の動きを覚えると、鉛筆の線も変わります。学校でも3年生から毛筆が始まるので、両方を学べると安心です。
左利きの子も、硬筆を習えますか?
習えます。鉛筆は左手のままで大丈夫です。紙の置き方や持ち方を工夫すると、ぐっと書きやすくなります。くわしくは左利きの子の鉛筆の持ち方をご覧ください。
おうちの練習は、1日どのくらいすればいいですか?
短い時間で大丈夫です。たまにたくさん書くより、毎日少しずつ、数文字から数行をていねいに書くほうが身につきます。集中が切れて字がくずれてきたら、そこでおしまいにしましょう。

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