保護者向けコラム|かきかた書道
鉛筆の持ち方の矯正グッズ、
どう選んで、どう使う?
「グリップを買ってみたけれど、すぐ外してしまう」「種類が多くて、どれがいいのかわからない」。鉛筆の持ち方を直す補助具(矯正グッズ)は、くせと年齢に合ったものを選び、短い時間から使うのがコツです。補助具の種類と向いているくせ、選び方、外す時期、輪ゴムなど家にある物での工夫、大人の場合まで、かきかた書道の教室からお伝えします。

「持ち方を直したくて、グリップを買ってみた。でも、つけるのをいやがる」「種類が多くて、どれを選べばいいかわからない」。鉛筆の持ち方の補助具(矯正グッズ)について、こんな声をよく聞きます。補助具は、合うものを選んで、使い方を守れば、正しい形を覚える近道になります。反対に、合わないものをつけっぱなしにすると、書くこと自体がいやになってしまうこともあります。
この記事では、補助具の種類と選び方、使い方と外す時期をまとめました。正しい持ち方そのものや、よくあるくせの見分け方は、鉛筆の正しい持ち方と、おうちでできる直し方で説明しています。先にそちらを読んでおくと、どのタイプが合うかを選びやすくなります。
補助具でできること、できないこと
補助具は、鉛筆につけて、指を置く場所や鉛筆の角度を決めてくれる道具です。正しい形で持つ回数がふえるので、その形が少しずつ手になじんでいきます。
| できること | 指を置く場所を決める。すべりにくくして、力の入れすぎをふせぐ。正しい形をくり返して、手に覚えさせる |
|---|---|
| できないこと | つけるだけで直すこと。姿勢・紙の位置・鉛筆の長さが合っていないと、効果が出にくい。外したとたんに、もとの持ち方にもどることもある |
大切なのは、補助具はゴールではなく、通り道だということです。最後は、補助具なしで同じ形で持てることをめざします。だから、選ぶときから「いつ、どうやって外すか」まで考えておくと、うまくいきます。字の形や読みやすさまで気になる場合は、小学生の字が汚いときの直し方もあわせてご覧ください。
補助具の5つのタイプ
補助具は、名前がちがっても、形で分けるとだいたい次の5つになります。
| タイプ | 向いているくせ・年齢 | よいところ | 気をつけること |
|---|---|---|---|
| 指を入れる穴があるタイプ | 握り持ち、親指が前に出るなど、くせが強い子。年長さん〜低学年 | 指の位置が自然に決まる。「どこを持つの?」と迷わない | 手の大きさに合わないと痛い。形を覚えたら、外す練習を早めに |
| はめるだけのやわらかいグリップ | くせが軽い子、力が入りすぎる子。小学生〜大人 | つけたままでも書きやすく、目立ちにくい。すべりにくい | 指の位置を決める力は弱め。くぼみがあるものは、向きに合わせてはめる |
| 三角の軸の鉛筆 | 持ち方を覚え始めた子、くせを予防したい子。年長さん〜 | 3本の指の置き場所が分かれる。ふつうの鉛筆に近い感覚で書ける | 指の位置を強く決めるわけではない。くせが強い子には足りないことも |
| 太めの鉛筆 | 指の力が弱い子、手が小さい子。年長さん前後 | つまみやすく、細い指でも支えやすい | ふつうの鉛筆削りに入らないものもある。慣れたら、ふつうの太さへ |
| クリップ型 | 親指が前に出る子、先の近くを持つ子。小学生〜 | 鉛筆にはさむだけで、指を置く場所の目印になる。付け外しがかんたん | 形やはたらきは、ものによってちがう。使い方を確かめてから |
どのタイプも、形や大きさ、対象の年齢は、ものによってちがいます。使う前に、説明書きを確かめてください。
選び方:くせ・年齢・本人の気持ち
- いちばん直したいくせを、1つ決める
グーで握る、親指が前に出る、鉛筆を立てすぎる、先の近くを持つ。くせによって、合うタイプがちがいます。いくつもあるときは、いちばん目立つものから選びます。くせの見分け方は、鉛筆の正しい持ち方の「よくある5つのくせ」が参考になります。
- 年齢と手の大きさに合わせる
小さい子ほど、指の位置がはっきり決まるものが合います。大きくなるほど、目立たず、外しやすいものが向いています。サイズがあるものは、手に合う大きさを選びます。
- 本人に選ばせる
色や形を、子ども自身に選んでもらいます。「自分で選んだ」ものは、使ってみようという気持ちになりやすいです。
- まずは1つだけ、ためしてみる
最初からいくつも買いそろえる必要はありません。1つ使ってみて、痛がる、いやがる、かえって書きにくそうなら、別のタイプに変えます。
| 年齢 | 選び方の目安 |
|---|---|
| 年長さん〜小学1年生 | 指の位置がはっきり決まる「穴があるタイプ」や、つまみやすい「太め」「三角」。ひらがなを習う時期に、正しい形をつけておきたい |
| 小学2〜4年生 | くせが強ければ「穴があるタイプ」。軽ければ「やわらかいグリップ」「三角の鉛筆」「クリップ型」。書く量がふえるので、つけたままでも書きやすいものを |
| 小学5・6年生・中学生 | 目立ちにくい「やわらかいグリップ」や「三角の軸」。本人が「直したい」と思っているかが、いちばん大切 |
| 大人 | 大人の手に合う大きさのもの。ボールペンやシャープペンシルにつけられるグリップも(大人の場合へ) |
使い方:短い時間から、外すまでがセット
補助具は、どれを選ぶかと同じくらい、「使う時間」と「外し方」が大切です。次の順番で進めてみてください。
- 最初は、短い時間だけ:1日数分、名前を書くときや、線・丸をなぞるときだけ使います。宿題の全部に使うと、時間がかかって、書くのがいやになります。
- ゆっくり書く時間に使う:補助具は、速く書くための道具ではありません。急いで書く場面ではなく、ゆっくりていねいに書く時間に使います。
- つけた形を、目で確かめる:つけたら、親指と人差し指で軽くつまめているか、鉛筆がななめに寝ているかを、いっしょに見ます。「その形、いいね」と言葉にすると、手が形を覚えやすくなります。
- 外して書く時間を、少しずつふやす:つけて数文字書いたら、外して同じ形で数文字。外しても持てる時間を、少しずつ長くしていきます。
- 外しても同じ形で持てたら、卒業:外して書いても形がくずれない日が続いたら、補助具はおしまいです。くずれてきたら、また短い時間だけ使えば大丈夫です。
- 合わないときは、やめる:指が痛い、赤くなる、強くいやがる、かえって字が書きにくそう。そんなときは無理に続けず、別のタイプにするか、補助具なしの練習に切りかえます。
輪ゴム・シール・100円ショップ:家でできる工夫
専用の補助具がなくても、家にある物で同じような工夫ができます。「まず試してみたい」というときにおすすめです。
- 輪ゴムで、鉛筆の角度をつくる:鉛筆を立てすぎる子に。輪ゴムを手首にゆるくかけ、反対側を鉛筆のおしりの方にひっかけます。鉛筆が手首の方へ軽く引っぱられて、ほどよくななめになります。
- 輪ゴムを巻いて、持つ場所の目印に:先の近くを持つ子に。削った所の少し上に輪ゴムを何回か巻くと、「ここを持つ」目印になり、指もすべりにくくなります。
- 丸いシールで、指の置き場所を決める:親指を置く所と人差し指を置く所に、色のちがうシールを貼ります。「青に親指、赤に人差し指」のように、遊び感覚で覚えられます。
- 丸めたティッシュを、薬指と小指で:握り持ちの子に。小さく丸めたティッシュや小さなやわらかいボールを、薬指と小指で手のひらに軽くにぎったまま書くと、残りの3本の指で鉛筆を持つ形になりやすくなります。
- 100円ショップのものを試す:補助具ややわらかいグリップ、三角の鉛筆などは、100円ショップでも手に入ることがあります。どのタイプが合うかを確かめるには、ちょうどよい方法です。合うタイプがわかってから、手に合うものを選び直してもかまいません。
輪ゴムを手首にかけるときは、きつくしないこと、短い時間だけにすること、小さい子は大人が見ているときだけにすることを守ってください。指や手首に跡が残るときは、すぐに外します。小さな部品や丸めた物は、小さなきょうだいが口に入れないよう、しまう場所にも気をつけましょう。
鉛筆の濃さ・長さ・太さも見直す
補助具を使う前に、鉛筆そのものが手に合っているかも確かめましょう。鉛筆を変えるだけで、持ちやすくなる子もいます。
| 見るところ | 目安 | 理由 |
|---|---|---|
| 濃さ | 低学年はBや2Bなど、やわらかめ。学校の指定があれば、それに合わせる | かたい芯だと、濃く書こうとして指に力が入りやすい |
| 長さ | 持ったとき、鉛筆のおしりが人差し指のつけ根より上に出る長さ | 短い鉛筆は指を置く場所が足りず、握り持ちや先を持つくせのもとになる |
| 太さ・形 | ふつうの六角形でよい。つまみにくい子は、三角や太め | 三角や太めの鉛筆は、それだけで補助具の代わりになることも |
| シャープペンシル | 持ち方が落ち着くまでは、鉛筆で | 細い芯は、力が入りすぎると折れやすい。まずは鉛筆で正しい形を |
短くなった鉛筆を最後まで使うのは、よい習慣です。ただ、持ち方を直している間だけは、長さのある鉛筆を使うのがおすすめです。
大人が持ち方を直したいとき
大人になってからでも、持ち方は変えられます。ただ、長い間その持ち方で書いてきたので、くせが手にしっかり残っています。いきなり全部を変えようとせず、次のように進めます。
- 練習の時間だけ、新しい持ち方で:仕事のメモや急いで書くときは、いつもの持ち方でかまいません。1日数分、ゆっくり線や自分の名前を書く時間をつくります。
- 大人の手に合う大きさのものを:子ども用の補助具は、大人の指には小さいことがあります。ボールペンやシャープペンシルにつけるやわらかいグリップは、大人にも使いやすいタイプです。
- なめらかに書ける筆記用具を:力を入れなくても書けるものを選ぶと、指の力みがぬけやすくなります。
- 子どもといっしょに:親子で同じ練習をすると、子どもにとっても「直すのは自分だけじゃない」という安心になります。
鉛筆やペンで字を書く練習は「硬筆」と呼ばれます。くわしくは硬筆とは?をご覧ください。
よくある質問
補助具を使わないと、持ち方は直りませんか?
補助具なしでも直せます。正しい形を知って、1つずつ直し、できたときにほめる。それが基本で、補助具はその手助けです。おうちでの練習のしかたは鉛筆の正しい持ち方と、おうちでできる直し方をご覧ください。
補助具をつけた鉛筆を、学校に持っていってもいいですか?
学校によってきまりがちがうので、担任の先生に確かめてください。はじめは、おうちで練習する時間だけ使うのがおすすめです。外して書けるようになることがゴールなので、学校ではふつうの鉛筆で書けると安心です。
左利きの子にも使えますか?
使えます。ただ、指を入れる穴があるタイプなど、ものによっては右手用と左手用が分かれています。左手で使えるかを確かめてから選んでください。左利きの子の持ち方や紙の置き方は、左利きの子の鉛筆の持ち方で紹介しています。
いろいろ試しても、なかなか直りません。
補助具だけで直そうとせず、姿勢や鉛筆の長さ、指先を使う遊びなど、ほかのところも見直してみてください。親子だけで続けていると、言うほうも言われるほうも疲れてしまいます。かきかた書道の教室で、持ち方から見てもらうのもひとつの方法です。こどもスクールのかきかた書道は、豊橋・豊川・岡崎・安城・浜松の公民館などで開いています(かきかた書道教室の一覧)。

グリップは みじかい時間から。外しても同じ形で持てたら、そつぎょうだよ!
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